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日経BP社から林田学「PL分担契約はこう進める」という本が出ています。 副題には「複数企業が関係する製造物責任の契約戦略と保険戦略」とあり随分難しそうな本ですが、改訂版まで出ているので売れたのでしょう。 「PL(Product Liability:製造物責任)の第1ステージが対被害者の問題であるとすれば、第2ステージは企業間の問題である。つまり、事故を巻き起こした製品に関与する企業は複数である。その製品を作ったメーカー、部品を作ったメーカー、その製品を売った販売店、販売店にその製品を持ち込んだ商社等々。これらの中からどれを訴えるかは被害者の自由である。PL法(製造物責任法)で攻めたいということでメーカーが訴えられることもあろうし、販売店が大きいからと民法を適用して販売店を訴えることもあるだろう。これがPL問題の第1ステージであり、PL法や民法で決せられる。 しかし、問題はそれだけでは終わらない。もし販売店が責任を問われたら販売店としてはそのツケをメーカーに回したいこともあるだろう。この問題は契約で決めることができる。保険をうまく使うことによっても対応できる。そこでどのような戦略を用いることができるか。これがPLの第2ステージである。これまでPLに関して多くの書籍が出版されてきたが、そのほとんどは第1ステージの問題を扱うものであった。本書は第2ステージの問題を正面から扱う初めての出版物である。著者はPL法が成立してから1年の間に約100回のセミナーを開いてきた。セミナーの際には必ず質問用紙を配り、セミナー終了後もファクシミリで質問に回答することにしている。質問はPLとは何の略かとうい類のものも少なくいないが、企業が現在直面している現場の問題を尋ねてくるものも多い。95年の年初あたりから、取引先から契約の改定案が持ち出されているがこれは何を意味しているのかと問うような質問が増え始め、米国では既に展開済のPLの第2ステージの問題がわが国でもスタートしたことを知った。そこで、著者のネットワークを利用し、これまでに企業間で結ばれている契約を数百社分集めて現状を認識するとともに、ファクシミリによる質問と著者が行うヒアリングを通して現状の変化を認識し、それに著者が有する知識と情報をドッキングして、本書を叙することにした。 私は、PL法の立法過程に参画し、ADR(裁判外紛争処理制度)の委員も務めている。その他にも前途のように数多くのセミナーを行い、インタビューやヒアリングも積極的に行ってきた。上場企業数社のPL対応体制作りにも参画した。そこで、もともと有していた法曹界のネットワークに加えて、行政・業界団体・商工会議所・大企業・中小企業・保険会社等にもネットワークを形成することができた。本書はこうしたネットワークの産物といえるであろう。本書は知的戦略本であり、攻める側から書いている。攻守双方から書いたのでは戦略本ではなくなってしまう。しかし、攻める側にとって不利なことは攻められる側にとって有利なのだから、攻められる側の方は本書を裏から読んで頂くと攻められる側の戦略が見えてくる。法律問題には、数字と違って絶対的な回答というものはない。しかし、ある程度の予測はできる。PL法はスタートしてみないと裁判官がどう判断するかはわからない、という人もいるが、そういう人にはこの種の法則を立てることができない。法律の熟練をある程度積んだ人であれば、「この問題について、裁判官は10人中10人はこう考えるだろう」とか「この問題は10人中6人はこう考えるだろうが、4人は別の考えをするかもしれない」といった予測を立てることはできる。本書で述べている著者の法的見解は少なくとも10人のうち6人はこう考えるだろうというものではあるが、10人中6人の場合には残りの4人に当たると別の答えが出てくる可能性もある。もし裁判において著者の見解と異なる見解が下されたらそういう問題であったと理解して頂ければ幸いである。私としては控訴、上告をして争うことをお勧めしたい。」 以上は林田学さんがはしがきに書いていることです。 林田学さんの意欲がよく滲み出ている本だと思います。
